日本の原風景を残す群馬県下仁田町、駅から来るまで30分ほどの山奥を歩いていると、異変を感じる。サーモカメラ映像で見てみると、岩は30℃近くあるが石垣は5℃前後の冷たさ。深さは約4.5m、長さは約10mほどの箱型の空間に入ってみると、岩のすき間から冷風が吹き出していた。その結果、中が冷やされ温度は0℃前後まで下がっている。外気との温度差が激しいと霧のようになり幻想的な光景に、いわば天然の冷凍庫になっていた。風穴と呼ばれ、山の上で冬の時期に出来た氷が春になると溶け出し、岩のすき間から冷風が出てきているという。この空間はカイコの卵を保存する施設。江戸時代、カイコは年に一度孵化して繭になり絹糸をとることが出来た。しかし明治時代、この天然の冷蔵庫、荒船風穴を利用し孵化の時期を調整し、年に複数回絹糸をとることが出来るようになった。その絹の一部は富岡製糸場でも使用され日本最大の貯蔵施設として2014年、富岡製糸場と絹産業遺産群として世界遺産に登録された。
