山頂へ進む険しい道の上にかかる幻想的な雲。地上8000mの頂上まであと一息という瞬間に撮られた朝日が登って生み出された朝焼け。大きく険しい山々の前に映る女性は福岡・大野城市出身・現役の看護師で登山家の渡邊直子さん(44)。福岡市で行われた渡邊直子さんの写真展「登山家・渡邊直子写真展~一歩、また一歩。その先に~」。渡邊さん自身が撮影した山でしかみられない貴重な瞬間など31枚が展示されている。渡邊さんはおととし10月チベット自治区の標高8027mのシシャパンマの登頂成功。日本人女性で初めてエベレストやK2など地球上にあるすべての8000m峰14座を制覇した。これまで8000m峰に登った回数は登頂できなかった遠征も含めて31回。挑戦を続ける傍ら、3月渡邊さんは初めての著書を出版した。タイトルは「エベレストは居酒屋です」。渡邊さんにとってヒマラヤは多くの人にとっての居酒屋のように、ストレス発散だったり素の自分を出せる場だという。小中学生の頃は引っ込み思案で、いじめにも遭ったという渡邊さん。一歩間違えれば命を落としかねないヒマラヤの過酷な環境。そこでともに過ごす現地ガイド「シェルパ」の寛容な文化が渡邊さんを変えてくれた。この日は中学校の同級生が運営するカフェでエベレスト登頂の報告会。地元での報告会はよくこの場所を利用しているという。会場には登山経験者から全く経験のない人まで約30人が集まった。渡邊さんはテレビ番組やラジオ番組でも取り上げられ、今やちょっとした有名人。中には渡邊さんの講演をきっかけに山岳部に入部したという大学生の姿もあった。写真展や報告会をはじめ年末年始には初心者などと一緒にヒマラヤトレッキングを行うなど精力的に活動する渡邊さん。今後は子どもたちにも山を通じて世界の様々な考え方に触れてほしいと話す。
