福岡県北九州市は1901(明治34)年に官営八幡製鉄所が操業して以降、日本の近代化を支えてきたものづくりの街。上戸酒店は買った酒を店内で飲む角打ち目当てに近所の人たちが集まってくる。切り盛りするのは上戸輝一さん(84)と妻・清子さん(80)。1978(昭和53)年に開業した当時は近くの工場の仕事帰りの人が集まっていた。当時は飲んですぐ帰る人が多かったが、工場も働く人も少なくなった今は夕方に集まる常連客が店を支えている。店が賑わい始めるのは日が傾く午後4時すぎ。珍味などのおつまみは40円~100円。酒も1杯200円~350円程度と安い。自前のタンブラーで飲んでいたのは常連最年少の美穂さん(31)。最年長の本田さん(84)はデイサービスの後に訪れて一杯やるのが日課。7年前に夫に先立たれて一人暮らし。仕事帰りに訪れた男性は「実家みたいな感じで安心して飲める場所」と語った。陽が沈む6時半ごろにお開き。上戸さん夫婦は「私たちの代で終わり」と語った。スーパーやコンビニで酒が買えるようになり、酒店は減少。北九州市内の角打ちは全盛期の3分の1になってしまった。
