フィリピンでは今、鉄道の大規模な工事が進められていて、日本の鉄道のシステムを参考にしている。フィリピンの鉄道の建設の最前線を取材した。首都マニラの中心部では、人口増加とともに交通量が増え渋滞が慢性化している。渋滞の解消策として期待が高まっているのが鉄道。首都マニラと近郊の都市をつなげる全長150kmの南北通勤鉄道は、2032年の全線開通を目指していて、利用者は1日100万人を見込んでいる。国内で初めてとなる地下鉄の工事も進んでいる。マニラの中心部など全長33kmを走行する。国をあげて大規模な鉄道整備事業が進められていて、フィリピン政府は開通後の10年間で、鉄道に関わる人材が1万5000人必要になると試算。人材の育成が急がれている。マニラにあるフィアティ大学では、航空や海運関連の教育に特化してきたが、2019年に鉄道専門の学科を新設した。車両の構造やレールの設計、保守点検など、鉄道に関わるあらゆることを実践的に教えている。さらに大学では東京メトロと連携し、安全基準や運行など日本の鉄道システムを教えている。網の目のように張り巡らされた地下鉄網を分刻みで運行し、遅延もほとんど起きない優れた鉄道システムが日本にはあるとして、新設学科で学べるようにした。この大学で鉄道工学を学ぶカール・ディアンコさんは22歳。鉄道会社で働く父の影響で幼い頃から鉄道が好きだったというディアンコさんは、大学卒業後は鉄道の運行に関わりたいと考えている。この日、ディアンコさんは東京メトロの職員による学生向けのレクチャーに参加した。会社からは半蔵門線の車両の台車やモーターなどが新たに寄贈された。運行の原理などを学ぶために使われるということで、ディアンコさんは将来の意欲が高まったという。フィリピンで進む大規模な鉄道建設では、日本が欠かせない存在となっている。地下鉄建設の総事業費1兆2000億円のうち、約5000億円をJICAが円借款を通じて支援している。鉄道建設を通じて日本とフィリピンの絆が深まっている。
