今回の依頼人は京都府立植物園の山本和喜さん。お宝は「本草綱目 初版本」。1607年、将軍・徳川家康の元に一組の書籍が献上された。10年ほど前に中国で発行された医薬研究書で、家康は常に脇に置いて愛読し自ら薬を調合したという。この書籍こそ本草綱目。本草とは薬の本となる草という意味で、薬草を始め医薬となる動植物や鉱物全般を指す。中国では古くより本草研究が盛んで様々な書籍が出版されたが、本草綱目はその頂点と言うべきもので約1900種の本草を網羅。巻数は全52巻に及ぶ。執筆したのは李時珍という医師だった。1596年に本草綱目が刊行された。図版は1109枚、文字数は約190万字という大作で、執筆を開始してから脱稿まで26年、さらに刊行作業に18年を要し、出版されたのは時珍が亡くなってから3年後だった。この本に収録された約1900種の本草は植物・動物・鉱物は勿論、人の爪や魂、ミイラや龍にまで至る。また、時珍独自の研究により新たなに薬効が判明した374種の本草も含まれている。依頼品は34冊あるが、複数巻を1冊に閉じたものもあり、全52巻のうち46巻、さらには序目巻と図巻も揃っている。本草綱目の初版本は金陵の出版元より発行されたことから金陵本と呼ばれるが、現存するものは世界でわずか10組程とされる。
