海藻を食べさせることで牛のゲップに含まれるメタンを減らし、地球温暖化にブレーキをかける高知県のスタートアップの挑戦を取材した。牛のゲップなどで排出されるメタンガスは二酸化炭素の28倍の温室効果があるとされる。熱帯から温帯の海に生息する紅藻類「カギケノリ」は独特な苦みやえぐみがあることから食用には向かないとされている。オーストラリアでカギケノリを0.2%飼料に混ぜ、羊や牛に与えたところメタンガス削減効果があるとの研究結果が示された。カギケノリには「ブロモホルム」と呼ばれる物質が他の海藻より多く含まれメタンガス発生を抑制するとされる。スタートアップ「サンシキ」はカギケノリを天然資源に頼らず、安定供給を目指すため、高知大学と共同で陸上養殖を始めた。有効成分を増やしつつ、コスト削減を目指す。乾燥させたカギケノリを粉末にし、飼料に混ぜるサプリメントを開発中。高知大学ではカギケノリのメタン抑制効果を検証する実験も行われている。カギケノリと飼料を入れた試験管に牛の胃汁・人工唾液を加え12時間振動させた後、発生したメタンを測定したところ、加えていないものに比べて8割くらいはメタンが削減されていることがわかった。メタン生成に使われていたエネルギーを体重を増やす方向に回せるため、飼料のコストダウンにもなるという。日本国内で飼料に混ぜ与える実証実験が始まった。有効性や安全性を検証し、数年以内の商品化を目指す。
