新酒の原料は「アルファ化米」。酒蔵の社長・小嶋拓さん。酒蔵が掲げる「日常飲む酒」は150年以上続いてきた。今年は酒米の高騰が立ちはだかった。販売元からは例年より8割高い金額が示された。そこで目をつけたのが「アルファ化米」。水やお湯を加えれば食べられる技術は特に災害現場で重宝されてきた。コメが高い中でもアルファ化米を使うことで酒造りで必要となるコメを洗う・蒸す・冷やすなどの工程を省き経費削減を考えた。最大の問題はコメにどの程度水を含ませるか。水分量は35%と決まった。仕込みは水と麹が入ったタンクにアルファ化米を入れて混ぜるだけ。従業員総出で3時間ほどかかっていた仕込みは1人で20分だった。仕込みから1か月、とても飲みやすい酒に仕上がった。アルファ化米で経費を抑えられたことで、絞りたての分についてはほぼこれまで通りの価格で販売できることになった。小嶋さんは「高級路線でいくことも1つの手法ではある。ふだんから飲んでもらっている酒を、どうコスト削減して届けられるかと考えた。楽しく飲んでもらえたら、いちばんの幸せ」と語った。小嶋さんによると、アルファ化米の価格は酒米より少し高いが、光熱費や人件費が抑えられるため、トータルコストは今までとあまり変わらないという。
