カンヌ映画祭で最優秀賞のパルムドールを2度獲得し、イギリスの至宝とも呼ばれるケン・ローチ監督(89)。最後の作品「オールド・オーク」が今週公開される。テーマは日本でも大きな課題となっている外国人との共生。半世紀に渡って撮り続けてきた巨匠の最後のメッセージとは。映画の舞台は、イギリスがEUからの離脱に揺れていた2016年。炭鉱が閉鎖され活気を失った街に、国の政策でシリアからの難民が暮らし始める。主人公は街のたまり場となっている小さなパブの店主。シリア難民に手を差し伸べるが、店の常連たちは自分たちの場所を奪われるように感じて反発。長年、社会問題を多面的に描いてきたケン・ローチ監督。難民に拒否反応を示す地域の側にも理由があると考えてきた。難民を演じたのは実際にシリアからイギリスにやってきた人たち。難民に反発する住民の役も地元の人たちが演じた。主人公は難民と住民を橋渡しするための食事会を企画するが、この取り組みは失敗に終わる。分断を乗り越えようと苦しむ主人公。2016年のイギリスの風景が、世界の今に重なる。この作品を最後に引退することを表明しているケン・ローチ監督は「絶望してはいけない、闘い続けなさい」とメッセージを語った。
