先月15日、石川県輪島市の小学校に消防車両が集まった。能登半島地震の被災者を励まそうと、愛知県や地元石川県などの消防音楽隊が合同でコンサートを開いた。企画したのは豊橋市消防本部の消防士・鈴木貴久さん。豊橋市を含む愛知県内の各消防は緊急消防援助隊として、輪島市などで約2か月間救助活動や行方不明者の捜索にあたった。捜索や復旧が一段落した中で「違う形の支援を」と、休日を利用してボランティアで再び被災地を訪れることにした。演奏の舞台に選んだ町野小学校の周辺は市内でも得に建物倒壊などの被害が深刻で、人口流出が進んだ。先月で小学校は閉校し、地元の中学校と共に小中一貫校として再建されることになった。町内の仮設商店街で弁当店を営む本谷さん夫婦は、地震の前は100年以上続く老舗旅館を営んでいた。旅館は全壊し避難所生活や車中泊を経て金沢で生活していたが、長男が学校に馴染めず家族で輪島市に戻り仮設住宅に入居した。旅館の再建は諦め弁当店を開こうと準備を進めていた矢先、今度は豪雨で店を開くために借りた建物が被害を受けた。2度の災害を乗り越え、去年の年末に弁当点をオープンした。仕事はようやく再開できたが、暮らしの再建は見通せない。仮設住宅に入居できる期間は最長3年で、次に住む場所を確保しなければならない。建築資材が高騰する中で能登への輸送コストも重なり、家を建てるには数百万円の補助金だけでは到底賄えないという。町野小学校でのコンサート当日、本谷さんの弁当店では消防音楽隊から注文を受け40人分の弁当を作っていた。演奏を行うのは、豊橋市の呼びかけで集まった岐阜市、浜松市、金沢市など8市の消防音楽隊の有志たち。最後の演目は、閉校する町野小学校の校歌だった。地震から2年余り、今も約1万6000人が仮設住宅で暮らし、復興は思うようには進んでいない。消防士の鈴木貴久さんは「ちょっと頑張ろうかなと思えるきっかけになったらうれしい」などと語った。
