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オープニング映像。
戦後80年の節目に総理を務め、辞任に追いこまれた石破茂。退陣直前までこだわったのが、戦後80年にあたる所感として先の大戦への反省を発表すること。日本政府は戦争で被害を受けた民間人に何の責任もとっていない。その根拠となってきたのは、戦争被害は国民が等しく耐え忍ぶべしという「受忍論」の考え方。
空襲で家族を亡くした河合節子さんは85歳。国が戦争の責任をとっていないことを街頭で訴え続けている。1945年の東京大空襲では10万人が死亡。河合さんの母と弟2人が亡くなり、生き残った父親は顔などに大火傷を負った。戦時下の日本では住民に避難を禁止し消火作業を義務付ける防空法があり、河合さんの家族も当時任務に当たっていて避難が遅れた。父は生還後、毎晩のようにうなされていたという。
東京都慰霊堂の裏手にある納骨堂。東京大空襲と関東大震災の犠牲者が「戦災遭難者遺骨」として一緒に安置されている。誰のものなのか、骨壺1つに何人分が入っているのかは分かっていない。07年、遺族らは民間人被害への謝罪と損害賠償を求め国を提訴するも、「国民のほとんど全てが戦争被害を負っている」との判決で敗訴。3月、遺族の河合さんらは被害者救済法案の成立を求め今も毎週国会前に立ち続けている。
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戦後、民間戦争被害者や遺族への補償を拒み続けてきた日本政府。旧軍人やその遺族らに対しては総額60兆円を超える補償を行っていて、支給額は退職時の階級でなどで算出。東條英機の遺族には最も高い金額が支払われた。遺族への謝罪や補償がないのは、戦争という非常事態のもとでは国民は等しく耐え忍ぶべしという「受忍論」の考え方による。1968年の裁判で初めて適用された。
ノーベル平和賞を受賞した日本被団協。授賞式のスピーチでは、遺族への謝罪や補償がないのは戦争という非常事態のもとでは国民は等しく耐え忍ぶべしという「受忍論」の考え方を批判。被団協の事務所には「自国の恥を晒すな」などとクレームが多く寄せられたという。原爆の放射線による健康被害に対しては医療費を助成する制度があるが、国が戦争の責任を認める「補償」には当たらない。1979年~80年にかけての政府機関による発言録では「被害者の情念が厄介」「一種のたかり」などの発言が見られる。
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3月、空襲被害者救済法の成立を目指す超党派国会議員連盟が集会。議連会長は空襲被害があった東京・葛飾区が地元の自民・平沢勝栄議員。すでに取りまとめた救済法案は、空襲による障害や傷跡が残っている生存者に一律50万円を支給するというもの。遺族は対象外。当時の石破総理も前向きだったが、厚労省は「諸外国との問題に発展する可能性」と後ろ向きだった。結果、救済法案は提出すら叶わなかった。石破前総理は当時を「戦後80年で一つの結論を出したかった」「受忍論は聞いたときから違和感があった」と振り返る。
日本政府は戦争被害は国民が等しく耐え忍ぶべしという「受忍論」の考え方をとっていて、民間人への補償を行っていない。同じ敗戦国のドイツ、空襲被害で街の9割が破壊され6500人超が死亡したミュンヘンを取材。政府は家財を失った人の生活再建を支えたり年金や医療サービスを提供する法律を戦後すぐに成立させ、軍人・民間人を問わず補償を行ってきた。
日本政府は戦争被害は国民が等しく耐え忍ぶべしという「受忍論」の考え方をとっていて、民間人への補償を行っていない。同じ敗戦国のドイツを取材。政府は戦争被害に関する物的損害の記録を公文書として保管している。記録によると、年収額を上回る額の補償を受けたという人も。総額13兆円(750億ユーロ)を費やしてきた。東欧から追放されたドイツ人の流入などあり、国民を統合するためにも民間人を支援することは避けて通れなかった。原資の一部は被害を免れた起業などからの賦課金。日本では戦災は天災と捉えられ、被害者に未亡人や孤児など声を上げられない人も多かった。
10月発足した高市政権。高市総理は就任前、総裁選候補者5人のうち唯一空襲被害者救済法に関する質問状に「大変重要なテーマ」「対策が急がれる」などと回答。初の代表質問でもこれについて質問があった。
高市総理の初の代表質問では空襲被害者救済法について質問があった。総理は「政府としてこれまでも社会保障施策の充実などに努めてきた」「引き続き議員立法の動きを注視」など答弁し、石破前総理の発言を踏襲するにとどまった。傍聴していた空襲被害者遺族の河合さんは涙ながらに「また積み直ししなきゃいけない」と語った。
日本政府は戦争被害は国民が等しく耐え忍ぶべしという「受忍論」の考え方をとっていて、民間人への補償を行っていない。作家の保阪正康は「今も戦争そのもののシステムが生きている」「政府はシステムに手を付けず、矛盾を抱えながら黙認してきた」など指摘する。日本被団協の田中さんは「受忍論が通ると戦争へのハードルが下がる」と、戦後80年の所感で敗戦について語った石破前総理は「国家のあり方として考えないといけない」「日本国とは何なのかが受忍論の本質」と話す。
エンディング映像。
